「安心」を売るために必要なこと
安心を売るために必要なことは、「不安」を与えればいいんです。
病気になるのは通常あり得ること。
お金が稼げないと苦労すること。
このふたつの独立事象の結びつきを強く印象付け、「病気になって働けなくなったら苦労します」という確実に起こる事象と誤認させるのが手法。誰もが病気になり、結果として大変なことになるという印象操作。
「病気になり苦労するほどに困窮するリスク」という具体事象で考えたとき、今の日本の社会福祉制度を活用することを考えれば、著しく低いんだ。
……と考えたとき。
生命保険のビジネスってのは心底罪深い。契約を取るために、不安を感じていない人にも不安を与えることの罪深さをわかっているのだろうか。これは宗教勧誘にも似ているのだけど。
相手に、「あなたは幸せではない」と伝えるのだ。具体的な不都合を提示して不安にさせるのだ。自分が完璧だ、絶対に大丈夫だ、と信じている人は少ない。だから、具体ケースで説明すれば少なからず不幸な可能性は存在してしまう。
「あなたのためだ」と希望と安心を売っている人というのは、あなたに不安と不幸を無料で与え、解決のソリューションで利益を上げる人たちなのだ。まさにマッチポンプ。それをしっかり覚えておくべきだ。
「スマホ本体は1円です。月額8000円です。3年契約です」
「お金は簡単にお貸しします。毎月定額返済ください。利息はキッチリいただきます」
みたいな商売と同じなんだ、と。
そういえば昔、保険屋さんに営業をかけられた。その時、自分の家族構成や年収からまっとうにシミュレーションすると、死んでも財産が残るくらい豊かに過ごせることが算出された。
しかしその後、あろうことか、
「50歳くらいで癌で働けなくなったとしますね」
と絶望的なシミュレーションを突き付けられたことがある。考えてみれば超絶失礼。私に、「自分が死んだら」って絶望を感じて欲しいんですね。保険金は誰が受け取るの? 家族居ないよ? 葬式代くらいは貯金がある。そもそも癌になっても大丈夫。過去に自殺も考えたことあるし、生命保険を考える理性レベルでは死は受け入れているしシミュレーションもしているから。
「あ、保険ってダメだわ」って思ったね。
最近、お金に関する本や動画で、必ず「生命保険は直ぐに解約しろ」と案内されていて、やっとわかってきたじゃないか……って安心してる。